祈りの神学 祈祷学

十字架金

田中敬康師 仙台教会にて
 「主よヨハネが弟子に教えたように私たちに祈りを教えて下さい。」 ルカ11:1

祈りの重要性
祈りは、キリスト者が新生した時、一番最初に発するここの声であり、信仰生活の中の霊的呼吸であり、成長の手段でばかりでなく、神と交わる方法だから。
そしてこの世を去る時、この地上における主との交わる最後の会話でもある。

そればかりではなく、教会の霊的指導者にとっては、一層重要なこと。
「祈り」とは、
ちなみに国語辞典では、「祈り」を祈ること、祈願、祈念、祈祷と説明している。
英和辞典の「Prayer」をみると、次の7つの項目があった。
① 祈祷、祈り
②(告解、賛美、感謝など神との)霊的交わり
③ 祈りの言葉、祈祷の文句
④(しばしば)祈祷会、礼拝
⑤ 嘆願、請願
⑥ 願い事
⑦ 請求趣旨、申立て(訴状の)救済請求条項。
祈りは、基本的にいって礼拝である。祈りにおいて人は神に近づく。
祈りは、神の御前における人間の態度―礼拝である。

私たちが、神を礼拝するとき、崇め、告白し、賛美する。そして懇願し、嘆願する。
これらはみな祈りである。
又、祈りを構成する要素である。それ故、祈りは神との霊的交わりと言える。
神が私たちに語りかけてくださるので、神に対して私たちが語ることができるのである。
祈れるというのは、神が私たちを祈れるようにしてくださるからである。
それは、私たちが「御霊によって生まれた者」だからである。
御霊によって生まれた者のみが真の意味で、神と霊的に交われるのである。
「神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません。」(ヨハネ4:24)のみことばを実行できるのは、神の愛―御霊―を与えられる者である。
神の霊と御霊によって生まれた者の霊の交流―霊的交わり―これこそが祈りである。

「祈り」についてのことば
1.旧約で用いられていることばは、約13種の動詞と約5種類の名詞
これを2つにわけて、基本語と関連語とがある。基本語とは、用いられている語数も多く、明確に祈りについてふれ、中心となることばである。
関連語とは、使用度数も少なく、文脈によって、祈りにふれる。つまり、祈りとかかわってつながりがあることから、このように呼ぶ。
1.アンナ―、関連語。このことばは、嘆願、懇願するときに使う「感嘆詞」「ああ、どうか」ということば、祈りの始めにつける叫び。
例、詩編116:4「どうか」116:16「ああ主よ」

2.ベエーア、関連語 アラム語で、ダニエル書にのみ用いられていることば。「求める、乞う、願う・・・」ダニエル書2:23:、6:11,12)
3.ハァーラー、基本語 誰の顔でも平静にさせる。おだやかにさせる。頼みごとをするの意味(出エジプト 31:11 (嘆願―神のあわれみを求めて)詩編119:58,45:13
4.ハァナン、基本語「恵む、情をかける」「恵みを嘆願する」詩編25:16、31:9,51;1
5.ラァーファン、関連語「ささやく、へびのように、シュという音をたてる」詩編58:5、イザヤ26:16
6.ナァー、関連語「礼儀正しい嘆願」(ああ、どうか)詩編118:25、「ホサナー」の「ナァー」がこれに相当
(「救ってください」の意味)マタイ21:9
7.アァータアル、基本語「哀願する、熱烈な祈りをささげる」本来、力、豊かさ、芳ばしい香を意味すると言う説もある。  出エジプト8:8-9
8.バァーガァア、祈りに関する基本語で、旧約で、44回用いられる(出会う、とりなしをする(イザヤ53:12)、
負わせる(イザヤ53:6)エレミヤ27:18
9.バァーラァル、祈りに関する基本語で、84回旧約で用いられ、「祈る」-仲裁する、決めるの意味、
エズラ10:1、Ⅰサムエル2:25、「とりなし」Ⅰ列王記8:28
10.ツァエラァ-、アラム語、基本語、ダニエル書、エズラ書で用いられる(ダニエル6:10、エズラ6:10)
11.シャァーアァラ、基本具「尋ねる、求める、頼む」Ⅰサムエル23:2,30:8「正しい裁きを求める」
 イザヤ58:2
12.シイーム、関連語「思いめぐらす、瞑想する」詩編77:6、詩編119:15(思いを潜め)105:2
13.バァーカァシャ、関連語「求める、さがす」Ⅱサムエル21:1(主にうかがう)

祈りは、主を切に求めること、主のみ心を求めることである。

Ⅱ、新約で用いられることば
1.(1)名詞(プロセウケー)「祈り、神への祈り」の意味。マタイ17:21、21:22、ルカ6:12、
  このことばは、「神への祈り」に限定されている。
  (2)動詞(プロセルコーマイ)神に祈りをささげる。マタイ6:5-7、14:23、ヤコブ5:13,18
2.(1)名詞(デーエーシス)「求めること、頼むこと」新約では、人間の神への願いの意味で用いられる。
  ヤコブ5:18
  (2)動詞(デーマイ)祈願する祈りの意味。本来は「――に欠ける、――がない。熱望する、乞う」
  ルカ5:12,8:28
3.名詞(エンテエウキイス)は、「とりなし」と訳されている。(Ⅱテモテ4:5)神への祈り(Ⅰテモテ2:1)
  信頼をもって神に近づくことをあらわす。
4.名詞(アイテーマ)嘆願、要求、求め(ピリピ4:6、Ⅰヨハネ5:15)
5.動詞(デテオー)求める、乞う、頼む(使徒3:2、12:20、マタイ7:7、ヤコブ1:5)
6.動詞(エロータオー)求める、尋ねる。~に祈りをささげる(ヨハネ17:9,15,20)
これらのことば、(名詞4種、動詞4種)をまとめると「祈り」が信頼をもって神に近づくことを表わし、
「願い」は個人的必要を、「とりなし」は、子どものような信頼、神と心の談話をすることによって祈りをする。
「求める」は下位者に求める、「願う」は求める方と求められる方とが同等のレベルで願う意味がある。
主イエスが父に求めているときに。

祈りの神学
1.祈りの対象は、主なる神である。主牧者でいまし、歴史、人生を支配されるお方である。
他のいかなる者も、御使いすらも祈りの対象ではない。
2.祈りの仕方、嘆願、懇願など切々と願い求め、熱心、熱烈に求める。
3.祈りの種類、祈りは基本的には、神礼拝、つまり神との霊交なので、内容は、多岐にわたる。
① 礼拝。神をあがめ、神の御性質を思い、主のみ前にひれ伏し、主に栄光を帰すること(詩編29:2)
② 賛美。神の恵み、愛、あわれみなどのご性質、その不思議なみわざ、摂理、贖い、栄光を思うとき、賛美はつきない(詩編105:2)
③ 感謝。賛美とかかわることで、被造物として神から賜るさまざまな恵みを思い、神に感謝する。
④ たたえあがめること。もっと個人的ニュアンスがある。そこに主を愛する要素がある。(詩編18:1)
⑤ 献身、ゆだねること。捧げることの意味が含まれる。祈りとなり、誓いとなってあらわれる。
(Ⅰサムエル1:11)神に自らをささげること。
⑥ 霊の交わり―祈りの本質。神のご臨在を意識し、みことばと聖霊を通して、主のみ思いにあずかること。
(詩編94:18以下)
⑦ 告白。個人であれ、集団であれ、問わない。神の義と聖さの前において、いかに自分が罪深い者であるかを認めて、 自分の無価値さと罪を告白して、神の赦しを求める。(エズラ9:6-15、詩編51:1-4:13)
⑧ 嘆願。故人の必要について、自分のための嘆願。神の栄光のためにささげられるべきもの。
⑨ とりなし。他者のための嘆願。祈願。神の家族の一員として同じ家族に属する者の必要―霊的、物的―のために祈る。
とりなしは、神の右にいますキリストと内にいます聖霊の奉仕で、キリスト者のための愛の最大のあらわれといえる。

4.祈りの土台
私たちが祈るのは、神によって私たちが創造されているからである。
神のかたちに造られているので、その創造者を切に求め、交わりたいという思いをもっているので、それが祈りとなるのである。
祈りは神ご自身に出発して、そのご性質、属性にあずかることができるので祈るのである。
祈りの目的は、第一に祈りが答えられて、恵みにあずかることではなく、神に栄光を帰するためである。
神のみ名を賛美し、み名があがめられ、与えられている神とのより豊かな経験をするのが、祈りである。
5.祈りの特徴
① 祈りは、心を注ぎ出すこと。―どんな状況でも神の御顔を求めて心を注ぎ出すとき、必ず応答して下さる。
② 祈りは、その時、その場で自発的に、即興的にささげられた。私たちは、いつでもどこでも神に近づくことができる。
③ 祈りは、神に対する信頼性に土台する。神に全く依存し、神を信じていることのあらわれである。天に通じる道である。
6.新約の祈り
① キリストが、唯一の真の仲介者(Ⅰテモテ2:5)norikuamichi
② キリストの御名によって
③ 聖霊の助けによって祈る。

 




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