神様の大きなご愛

私は、長い年月を、心に大きな負い目と罪の意識を抱いて一日として心安らぐことなく過ごしておりました。
生涯それから逃れることは出来ないし、又、逃れてはいけないものと思っていました。

次々と続く苦しいことつらいことは、その罪の報いであり罰のように思い、そのことでグチや不平を言う資格は自分にはなく、 ただ忍耐と誠意と努力で事態が好転することを願って努めていました。
しかし、どんなに努めても一向に好転せず、私は努力することの長さに疲れてしまっておりました。

イエス様とめぐり会う直前には、生きる事にも絶望している状態でした。 かなり重症のノイローゼ、うつ状態だったのではないかと思っています。

その頃、私は、地区の自治会の保健委員をしていました。

ある時、私の地区の保健委員長さんの代理で、市の各地区の委員長さんの、日帰りの視察旅行に行くように頼まれたのです。
その当時は、仕事もしていなくて家に居りましたので、人数合わせのピンチヒッターのつもりで、行き先も聞かずバスに乗って、 初めてその日の視察が、浜松にある聖隷三方原病院のホスピス病棟と知ったというお粗末なものでした。

しかし、私はそこで心揺さぶられる大きな体験をしたのです。

今でこそホスピスという言葉はよく耳にするようになりましたが、少し前にはなじみの薄い言葉でした。
そこは回復不可能な患者さんの残された短い人生を、人間らしく豊かに過ごすため、心のケアを中心に看護をしている病棟でした。

四・五十代の男性の患者さんは開口一番   「私は由緒正しきガン患者です」  と、明るく笑っておっしゃり私たちを驚かせました。

そして、自分の病気についてしっかりとした口調でさわやかに語って下さいました。
学校の先生だったと聞きましたので、私はこの方は特別な人格者で、だから代表で話して下さったのだと思いました。
しかし、この方のお話の後、病室へと看護婦さんに案内されて行った時、その方だけが一人特別な人でないのを知りました。

明るい開放的な病室の中で、どの方も残された時を精一杯前向きに生きていらっしゃいました。
患者さんは皆、優しげで秋の日差しはやわらかでした。

病室の前の庭の小さな花壇には、動ける患者さんの手で秋植えの球根が植えてあるのだと聞きました。
タンポポ その時、私はこの方々のうち、何人、春にその花を見る事が出来るだろうかと思いました。

そんなむなしい事を、むなしいと思わず懸命に今を生きていらっしゃる方々に心を打たれました。

ここには生きたくても生きる事の叶わない人がいるのに、私は生きられる命をなんと粗末に思っていることかと思いました。
そして、この方々の心をそのように支えているものは何なのだろうと思いました。

どうやらそれは、信仰の力のように見受けられましたが、私には信仰がそのように人を強める事が良く理解できませんでした。
けれど、その時の強烈な印象と感動はなかなか消えず、帰ってからも折々、あの方々を支えていたキリスト教とは、どんな教えなのだろと思っていました。

そんなある日、近に住んでいる友人のクリスマス会に誘われました。

わたしは、友人がクリスチャンである事を知りませんでしたから、牧師先生のいらっしゃる本当のクリスマスとは、思わず、 立派なうつ患者であった私は、

気晴らしになるなら何でもOK

と言うまことにいい加減な気持ちで出かけて行きました。
私の予想とは違いましたが、知りたく思っていたことでもあったので、嫌な感じは受けませんでした。

それがきっかけで友人の家庭集会に伺うようになり 、そのうちポツポツと田沼にあった教会にも通うようになりました。

その後も時々、生きていたくないような思いにとらわれることがありましたが、 キリスト教が自殺を禁じている事を、一般常識として知っていましたので、大げさな言い方で言うならば、 生命の本能的な自己防衛の気持ち、簡単に言うなら、死ぬのはやっぱり怖くて、教会へ通ったという面も最初の頃には あったかも知れません。

自殺願望はうつ患者のありふれた、症状の一つと申しますから。

 

そして一年がたち、長い間おっていた心の罪を告白し、悔い改め、イエス様を私の救い主として受け入れ、

「誰でもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。」  コリントⅡ 5章17節

の御言葉によって救われました。

           

生涯許されないと思っていたことも、神様は許して下さり、今この時から新しく生まれ変わったと言って下さった事を忘れる事は出来ません。
若い頃から、本当に長いこと心安らいだことなく過ごしてきた身にとって、その時覚えた心の安らぎは生涯忘れる事はできません。

神様は、このような者を忍耐強く待っていて下さり、不思議な力をもって救いへと導いて下さった事を知り心から感謝しています。

梅羽鳥


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